2100年天気予報は正しいの?❷温暖化を最高気温100年推移で検証!

北海道ローカル局であるHTB「イチモニ」が「2100年未来の天気予報(環境省作)」をもとに、北海道はこうなる!バージョンを特集して、

・札幌でも40℃超えの「激暑」が2100年に発生している
・30℃を超える真夏日が2100年には今の5倍に増え年間40日にもなる(今の東京並み)
・北海道の雨量は1.5倍になり、梅雨入りもありえる(最近20年は雨量が増えている)

といった内容でしたよ。そこで私は、

・降水量は本当に増えているのか?

・30℃を超える日は増える傾向にあるのか?

を調べみたら、50年単位で見るとそう見えるけど、100年単位で見ればそうは見えない!

との結論を出した後に、

・35℃以上の猛暑日はどうだろう?

と、ここから全国24地域分を調べてみたら、猛暑日は、札幌以外の本州各地では、ここ20~30年間に確実に増えていることが分かりました。

そもそも、環境省が作成した「2100年未来の天気予報」は、温暖化対策目標を達成した場合と達成できなかった場合の2パターン✖夏・冬で計4パターンの動画を作成していて、HTBが放送した動画は目標未達成・夏バージョンなのですが、全ての根本となっている温暖化想定シナリオについて、環境省のCOOL CHOICEホームページに以下の通り記載されています。

現状を上回る温暖化対策を行わない場合に世界の平均気温が21世紀末最大で4.8℃上昇するというシナリオ

私の調べでは、賛成1票・反対2票となったので、もう少し別の角度からも調べてみることにしました。

今回は、前回の35℃以上の日数に続き、

各年(7月~9月)の最高気温は、この100年間どのように推移しているか?

で、本当に最大で4.4℃も上昇する可能性があるのか?検証してみました。

データのとり方は前回と同様で、以下の通りです。

※気象データは、全て気象庁ホームページに掲載のデータを参照しています。
※データは1920年~2018年の99年分を各年代ごと(10年ごと)に平均値を出しました。
※利用したデータの地域は、札幌・青森・秋田・仙台・宇都宮・東京・熊谷・甲府・長野・静岡・名古屋・新潟・金沢・岐阜・京都・大阪・広島・松江・高松・高知・福岡・鹿児島・那覇・石垣島の24地域です。

各地域ごと・最高気温の10年平均推移

各年の7月~9月92日のうちの最高気温を、1920年から10年単位で平均値化し、1年代分を一覧にしました。6月に最高気温が発生する場合もあるかもしれませんが、一旦、7月~9月のデータで、その年の最高気温がほぼ取得できるので、7月~9月のデータで計っています。

尚、最後の2010年代だけは、2010年~2018年の9年間の平均値となり、正確には合計99年分のデータということになります。

札幌・青森・秋田・仙台

 単位:℃札幌青森秋田仙台
2010-18年33.535.235.635.3
2000-09年31.933.134.834.5
1990-99年32.433.734.734.3
1980-89年32.733.634.433.3
1970-79年33.434.234.534.4
1960-69年32.833.133.934.4
1950-59年33.032.834.234.5
1940-49年32.632.734.333.4
1930-39年32.032.033.533.8
1920-29年32.533.434.034.0

宇都宮・東京・熊谷・甲府

単位:℃宇都宮東京熊谷甲府
2010-18年36.637.238.638.4
2000-09年36.336.438.338.0
1990-99年36.236.238.137.7
1980-89年34.234.936.335.6
1970-79年34.135.136.535.6
1960-69年34.235.936.436.1
1950-59年33.935.635.936.2
1940-49年33.735.335.436.4
1930-39年34.734.636.237.0
1920-29年35.034.836.036.6

長野・静岡・名古屋・新潟

単位:℃長野静岡名古屋新潟
2010-18年36.436.637.836.4
2000-09年36.136.537.536.4
1990-99年35.837.136.736.2
1980-89年34.435.336.036.1
1970-79年35.235.836.035.5
1960-69年34.736.136.935.2
1950-59年35.134.637.134.7
1940-49年35.435.237.035.7
1930-39年34.936.934.9
1920-29年35.336.136.0

金沢・岐阜・京都・大阪

単位:℃金沢岐阜京都大阪
2010-18年36.538.038.137.5
2000-09年36.338.137.537.1
1990-99年36.236.837.136.7
1980-89年36.136.436.136.2
1970-79年36.036.436.636.1
1960-69年35.936.437.036.5
1950-59年35.436.036.736.1
1940-49年34.836.136.836.1
1930-39年34.735.736.635.9
1920-29年35.035.336.135.2

広島・松江・高松・高知

単位:℃広島松江高松高知
2010-18年36.636.637.136.1
2000-09年36.636.037.036.8
1990-99年35.935.436.535.4
1980-89年34.034.435.334.6
1970-79年34.235.235.235.1
1960-69年34.735.235.035.8
1950-59年34.135.234.635.0
1940-49年34.234.934.134.2
1930-39年34.534.7
1920-29年36.235.0

福岡・鹿児島・那覇・石垣島

単位:℃福岡鹿児島那覇石垣島
2010-18年37.236.033.834.4
2000-09年36.136.134.334.3
1990-99年36.035.333.733.9
1980-89年35.134.933.434.3
1970-79年35.234.932.533.3
1960-69年35.534.932.634.0
1950-59年36.034.833.134.3
1940-49年35.034.632.433.8
1930-39年35.334.732.033.7
1920-29年35.134.633.133.2

地域によってバラツキはありますが、大よそは2000年代または1990年代から気温が上昇している感じがありますが、分かりにくいので、次の項目で、2010年代~と2000年代~の数値を過去の全平均と比較できるよう一覧にしました。

2010年以降・2000年以降vs過去

前項までの地域別の10年ごと平均値一覧を見ていると、この10年20年で温暖化の傾向が進んでいるように見受けられるので、2010年以降とそれ以前の傾向を、同様に2000年以降とそれ以前の傾向を見ることが出来るように、それぞれに分けて平均値化した一覧です。

単位:℃2010年~と過去の比較2000年~と過去の比較 
2010年以降2009年以前2000年以降1999年以前
札幌33.532.632.732.7
青森35.233.234.133.2
秋田35.634.335.234.2
仙台35.334.134.934.0
宇都宮36.634.736.534.5
東京37.235.436.835.3
熊谷38.636.638.436.4
甲府38.436.638.236.4
長野36.435.236.235.1
静岡36.635.836.535.7
名古屋37.836.737.736.6
新潟36.435.636.435.5
金沢36.535.636.435.5
岐阜38.036.438.136.1
京都38.136.737.836.6
大阪37.536.237.336.1
広島36.634.936.634.7
松江36.635.236.335.1
高松37.135.437.035.1
高知36.135.236.435.0
福岡37.235.536.635.4
鹿児島36.035.036.134.8
那覇33.833.03432.8
石垣島34.433.934.433.8
平均36.535.136.335.0

札幌における2000年以降と1999年以前の平均気温が同じである以外は、全てにおいて、2010年以降・2000年以降の方が、それ以前より気温が高いという結果となったので、10年・20年のスパンでは温暖化の方向にあると言って良さそうです。

各地域ごと最高気温TOP3

その年の最高気温が、2000年以降上昇しているということが、平均的には明らかになったので、次に、各地域ごとの最高気温TOP3を見ることで、具体的な年と気温についてみることができるよう一覧にしてみました。

札幌年月日1994年2000年1943年
最高気温(℃)36.236.035.8
青森年月日1994年1999年2010年
最高気温(℃)36.736.636.6
秋田年月日1978年2000年2016年
最高気温(℃)38.237.937.6
仙台年月日2018年2007年1929年
最高気温(℃)37.337.236.8
宇都宮年月日1997年2001年1996年
最高気温(℃)38.738.237.5
東京年月日2004年1994年2018年
最高気温(℃)39.539.139
熊谷年月日2018年2007年1997年
最高気温(℃)41.140.939.9
甲府年月日2013年2004年2018年
最高気温(℃)40.740.440.3
長野年月日1994年1942年2018年
最高気温(℃)38.738.638.5
静岡年月日1995年1942年1991年
最高気温(℃)38.738.538.4
名古屋年月日2018年1942年1994年
最高気温(℃)40.339.939.8
新潟年月日2018年1920年1978年
最高気温(℃)39.938.538.5
金沢ねん年月日1978年1985年1994年
最高気温(℃)38.038.038.0
岐阜年月日2007年1994年2001年
最高気温(℃)39.839.739.7
京都年月日1994年2018年2015年
最高気温(℃)39.839.839.1
大阪年月日1994年1983年2001年
最高気温(℃)39.138.538.4
広島年月日1994年2004年1924年
最高気温(℃)38.738.638.1
松江年月日1994年2018年2017年
最高気温(℃)38.537.937.7
高松年月日2013年1994年2006年
最高気温(℃)38.638.237.8
高知年月日1965年2001年1969年
最高気温(℃)38.438.338.2
福岡年月日2018年2013年1994年
最高気温(℃)38.337.937.7
鹿児島年月日2016年2013年1942年
最高気温(℃)37.437.137
那覇年月日2001年2003年2017年
最高気温(℃)35.635.535.1
石垣島年月日2017年1956年2006年
最高気温(℃)35.635.335.3

24地域✖1~3位=72の数値のうち、半数以上の38が2000年以降でした。

各地域のTOP10年がいつに多いか?

次に、もう少し枠を広げて、地域に関係なく、西暦何年に高気温が出現しているかを見てみます。

具体的には、各地域のTOP10の年を各年ごとに分けて、何地域あるのか数えてみました。24地域✖1~10位=240の数値のうち、いくつがどの年にあるのか見てみる感じです。

2018年142003年1
2017年72002年4
2016年62001年13
2015年62000年10
2014年41999年4
2013年101998年3
2012年21997年4
2011年11996年2
2010年51995年9
2009年11994年15
2008年31993年0
2007年131992年1
2006年51991年2
2005年01990年8
2004年101989年0
1989年以降30年間(平成)163
1988年以前70年間77

「10」以上の年を対象データが多い年=暑い地域が多かった年として見ると、2018年・2013年・2007年・2004年・2001年・2000年・1994年が対象となり、平成の30年間(1989年~2018年)の中でも、後半よりも中盤に多いことが分かります。

特に、2000年~2007年の8年に4回(年)が集中しており、この期間は2年に1回のハイペースと言えます。

そして、2008年~2018年の11年間でわずか2回(年)と、ペースが落ちてきているとも言えます。

前項までのデータで、10年単位でデータを区切って比較をしてきた中では分からなかった部分が見えてきたので、次の項目ではもう少し細かく、3年ごとで平均数値化してみます。

3年ごとの平均推移(2016-18年対比)

各地域ごと、その年の最高気温(7月~9月のうち)を3年単位で平均値化し、直近の2016年~2018年を100%とした対比割合(%)を一覧にしてみました。

%数値が、100を割って90台である3年間は、2016年~2018年の3年間の方が、平均して気温が低かったと見ることが出来ます。

単位:℃対13-15年対10-12年対07-09年対04-06年
札幌100.7%99.9%104.4%103.2%
青森98.3%95.4%105.0%101.4%
秋田107.5%103.6%109.2%103.4%
仙台98.1%100.8%103.3%103.4%
宇都宮98.6%99.4%101.6%100.6%
東京101.5%104.4%106.4%102.2%
熊谷99.6%101.8%101.0%102.0%
甲府100.5%102.6%102.5%100.7%
長野99.8%101.4%101.0%102.7%
静岡101.3%102.6%102.8%101.3%
名古屋98.8%101.8%101.0%101.7%
新潟104.7%103.3%104.3%102.0%
金沢99.9%101.8%103.0%100.3%
岐阜99.3%101.8%100.1%100.9%
京都98.3%101.7%101.4%101.6%
大阪100.0%102.9%102.3%102.0%
広島102.5%102.4%102.3%100.5%
松江104.6%103.0%104.6%105.3%
高松99.7%102.3%101.4%101.3%
高知101.6%106.1%101.6%99.5%
福岡101.9%101.6%103.1%104.8%
鹿児島100.7%104.2%100.8%101.5%
那覇99.6%102.7%99.2%98.6%
石垣島101.2%102.5%100.6%101.6%
平均100.8%102.1%102.6%101.8%

最下段の「平均」欄を見ると、24地域の平均では、最近の2016~18年が最も気温が高いという結果ですが、地域別には、2013~15年よりも低いという地域が8地域も出現しています。

まとめ

今回は、各年の最高気温が、100年間の中で、どのように推移しているか? 特に、2000年以降を目安に気温が上昇傾向にあるか否か?を見ることに主眼を置いて、データを集約してみました。

その結果、10年単位の平均数値で比較すると、2000年・2010年と気温が上昇していることが分かります。

しかし、地域ごとの高気温の年をデータ化してみると、2010年以降よりも、2000年~2007年に多くの地域で高気温を記録していることが分かりました。

また、3年単位の数値で見ると、24のうち8の地域で、直近3年間の気温は、前の3年間に比べて低下傾向になるということも分かりました。

以上の結果より、昨年2018年の記録的猛暑があったにも関わらす、このようなデータとなったということは、本当に「温暖化」という傾向が継続しているのか?今後も上昇していくと言えるのか?疑問に感じるようになりました。

今回のデータは、年に1回の最高気温を基にしているので、今後は、7月~9月の「1日の平均気温」と「各日最高気温の平均値」についても、同様にデータ化していきたいと思います。

※過去の❶記事&北海道用2記事はコチラ↓

2100年の天気予報は正しいの?❶猛暑日の日数100年データで検証!

北海道にも将来40℃の激暑と梅雨やってくるかも!?って本当?

2100年に札幌は今の東京並みの暑さ!?に大いなる疑問の理由!!

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