2100年天気予報は正しいの?❺本当に温暖化は継続か最終結論!

環境省が「2100年未来の天気予報」というものを発表し、日本全国の、その年の最高気温が40℃を超えるような動画となっていました。

その天気予報の前提となっている考え方が、

現状を上回る温暖化対策を行わない場合に世界の平均気温が21世紀末最大で4.8℃上昇するというシナリオ

だそうで、要するに、このままで行くと温暖化が進み、今よりも4.8℃も気温上昇する可能性があって、21世紀末には日本全国各地で最高気温が40℃を超える!しかも北海道でも!といったものでした。

そこで、本当にこのまま気温上昇が進んでしまうのか?

気温データで検証をしてみようと、過去に別記事「2100年天気は正しいの?」を❶~❹まで展開してきた結果、

どうやら、過去100年間を10年単位で見ていくと、1990年代以降は一貫して温暖化の傾向にあるように見えるが、2000年以降を3年単位で見ていくと、気温上昇の最ピークを過ぎて下降傾向にあるようにも見える。

という状況がほぼ濃厚なところまで確認できたので、今回は最終結論のまとめに入ろうと思います。

※気象データは、全て気象庁ホームページに掲載のデータを参照しています。
※データは1920年~2018年の99年分を各年代ごと(10年ごと)に平均値を出しました。
※利用したデータの地域は、札幌・青森・秋田・仙台・宇都宮・東京・熊谷・甲府・長野・静岡・名古屋・新潟・金沢・岐阜・京都・大阪・広島・松江・高松・高知・福岡・鹿児島・那覇・石垣島の24地域です。

夏<7月~9月>の平均最高気温をグラフ化!

夏の7月~9月・92日の日々の最高気温データを100年間分取って、各年の平均最高気温として「青いライン」でグラフ化をしました。

上下に動く幅が広く、1年1年の動きだけでは大きな流れが捉えにくい面もあるため、5年間移動平均線を「オレンジのライン」で加えました。

5年間移動平均線とは、その年を含め過去5年間の平均値をその年の数値としたものです。5MAのMAとはMoving Averageを意味します。

まずは、札幌・仙台・東京・新潟・京都・福岡・那覇の7地域を地域ごとに特徴を確認し、最後に、24地域の平均値で日本の平均像を確認します。

札幌

日本で一番寒い大都市である札幌も、2000年代中盤から気温上昇をしているように見えます。特に、2003年以降、冷夏となる年の気温が切り上がっている(黄色の矢印)のが明確です。

しかし、2100年代は急激な下落傾向(ピンクの矢印)にもあり、上も下も縮まって収縮しているといった表現が正しいのではないかと思われます。
金沢の過去100年間・7月~9月の平均最高気温をグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

仙台

東北で太平洋側の大都市である仙台も、札幌に似て、2010年代は上下収縮した傾向にあります。札幌と違う点は、2010年に過去の天井を突き抜けている点(28.8℃)と冷夏の気温切り上げ方が急激であるところです。2003年以前は23℃台まで低下していましたが、2100年代は27℃より下回らなくなりました。

仙台の過去100年間・7月~9月の平均最高気温をグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

東京

東京は、札幌と仙台の共通の特徴である2100年代は上下が収縮しているという点は一緒で、仙台だけに出ていた2010年に過去の天井を突き抜けている点(31.4℃)も同様です。しかし、冷夏年の気温下限を切り上げている点では、1990年あたりから始まっており、仙台や札幌よりもかなり長い傾向となっています。

東京の過去100年間・7月~9月の平均最高気温をグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

新潟

日本海側に位置する新潟ですが、上下の収縮傾向はと地域と同様ですが、天井の低下傾向も30年近く長い期間となっているところが、他地域にはない特徴です。1994年以降の34年間、1994年の30.4℃を超える年は1回もありません。

新潟の過去100年間・7月~9月の平均最高気温をグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

京都

関西で気温が高いことで有名な京都ですが、京都も新潟と同様に、1990年代から長期間にわたり上下の収縮が続いています。

京都の過去100年間・7月~9月の平均最高気温をグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

福岡

九州で日本海側に位置する福岡ですが、福岡の特徴は、冷夏年の気温が上昇し続けている傾向は他地域と同じですが、天井の収縮が他地域と違って無いように見えます。2013年の32.7℃に比べれば、2014年以降の5年間は収縮しているとも言えますが、たったの5年間なので、もう少し様子を見る必要はありそうです。

福岡の過去100年間・7月~9月の平均最高気温をグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

那覇

沖縄は、最も他24地域と異なる特色を持っています。他地域にある上下の収縮は、上下の両方ともに無いのです。天井は上がり続け、底は全く下がっていません。

那覇の過去100年間・7月~9月の平均最高気温をグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

24地域平均

上段で7地域ごとに特色がある部分をお見せしましたが、24地域を全て平均化してみると、1990年代前半から「上下の収縮」が30年以上継続していて、下からの上昇が強いために平均的には上昇傾向になっていましたが、2010年代は天井の下落傾向が強くなり底の上昇も小さくなってきたため、5年間移動平均線もついに下落傾向になっていることが分かります。

日本全国24地域平均の過去100年間・7月~9月の平均最高気温をグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

最高気温(7月~9月で最も高い気温)

前項目で、「平均最高気温=92日の最高気温の平均」については、「1990年代~:気温の上下の収縮、2010年代~:特に天井の下落傾向が強い」ということが判明しましたが、もう少し別の角度からも検証してみたいと思います。

前項の92日それぞれの最高気温の平均値ではなく、「92日間の中で一番暑い日の気温=(ほぼ)年で一番高い気温」を同様にグラフ化してみました。

すると、下側(底)の上昇傾向は同様ですが、上側(天井)の下落傾向は、2018年の急上昇で消えてしまいました。また、5年間移動平均線が2010年代も上昇しています。

過去100年間・7月~9月の最高気温を日本全国24地域平均でグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

平均気温(1日の平均気温・7月~9月)

次に、「7~9月の平均気温=92日の全2,208時間の平均気温」をグラフ化してみます。

冷夏年・底の上昇傾向は、平均最高気温・最高気温とも同様ですが、天井の下落傾向は微妙です。

2010年以降に天井の下落傾向はあるのですが、2010年に過去の天井である1994年を少しだけではありますが突き抜けています。1994年からの上下収縮傾向を否定するような気温上昇ですから、2010年代の上下収縮傾向もいずれはこのように上昇してしまう年が発生してもおかしくないと想定させられます。

過去100年間・7月~9月の平均気温を日本全国24地域平均でグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために1年ごと&5年間移動平均線の2種類の線を採用。

3つの気温(最高・平均・平均最高)をグラフで比較

平均最高気温・最高気温・平均気温の3種類別々でのグラフ化において、それぞれの傾向が見られましたので、最後に、3つのグラフを5年間移動平均線だけ並べてみようと思います。

1980年代から気温の上昇傾向にある点は、3種類とも同様ですが、最後の5年間くらいに違う動きがあります。そこで、このグラフを更に2010年以降だけに絞ったグラフも作ってみました。

過去100年間・7月~9月の最高気温・平均最高気温・平均気温の3つの気温を日本全国24地域平均でグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために5年間移動平均線を採用。

上記グラフを2000年以降だけにクローズアップしてみたグラフがコチラ↓

2000年以降に絞り、7月~9月の最高気温・平均最高気温・平均気温の3つの気温を日本全国24地域平均でグラフにした画像。気温上昇の変化を分かりやすく見せるために5年間移動平均線を採用。

2014年以降、平均最高気温(オレンジ)と平均気温(グレー)が下がっているのに対し、最高気温(ブルー)だけは上昇し続けています。

ここでのポイントは、最高気温(ブルー)は、92日間のうちのたった1日だけの気温であるということで、つまりは高い方への異常気象傾向値であるということです。

まとめ

グラフから読み取れる事実

今までお見せしたグラフから言えることを列挙します。

①天井

・異常気象ともいえる年に1度の最高気温は、上昇し続けている

・平均最高気温は、1990年代以降、長期的にも短期的にも下落傾向にある

・平均気温は、1990年代以降、長期的には上昇・短期的には下落傾向にある

②底・冷夏年

・3種類とも上昇傾向にある

③上下の収縮

・最高気温は、収縮していない。

・平均最高気温と平均気温は収縮しているが、1900年代・2000年代は底(冷夏)の上昇が強いため、平均的には上昇傾向にあり、2010年代は天井の低下傾向が強いため、平均的にも下降傾向にある。

結論

上記の読み取れた事実に解釈を加えて「結論」を出します。

❶夏全体としては、高い年も低い年も収縮傾向にあるため、冷夏の気温低下も猛暑の気温上昇も、現在より大きくなる傾向(可能性)は低い(あっても、10年に1度の異常気象的な起こり方であろう)

⇒現在よりも熱中症患者が増えるとか、冷房費用がかさむとか、降水量が増えていくといった現象は起こりにくく、あった場合は、その原因は気温上昇以外の要因によるものと想定できる。

❷夏の中のごく少数の日にちに起きる異常高気温は、今後も上昇する可能性がある。

⇒今後、環境省の「2100年天気予報」にあるような、日本全国で、その夏の最高気温が40~43℃程度を記録するようなことは、10年に1度とかの異常気象時にはありえることである。但し、当たり前のように毎年起きる可能性は低い。

★環境省が作成した「2100年未来の天気予報」は、いかにも40℃以上の気温が当たり前のようになるという印象を与えています。気温低下が激しい冷夏も想定し難にくいですが、40℃以上の気温が毎年当たり前のように発生することにもなり難いと想定できるため、単純な未来予想というよりは、他意があって、そちらに誘導したいという感じがします。

★環境省が何の目的で「2100年未来の天気予報」を作成したのか?その理由が純粋な危機感からなのか?本当のところは不明ですが、地球温暖化対策のための予算を増やしたいための誘導策であるとも受け取れます。

京都議定書以来、国家予算を80兆円も使ってどれだけの成果をあげるのか?も不明ですが、国民の感情を不安な方向に煽るだけの動画作成は控えてほしいものです。

年金の2000万円問題は受け取らず、温暖化不安煽り動画は野放しになっている。。。

テレビ報道も、気温の記録更新や、21世紀末に40℃超え続出のような話題性のある部分は取り上げますが。。。

記録更新にばかり目を奪われてはいけません!

夏を通して見てみれば、2018年は全然「温暖化」が進んだ年ではなかったのです。

最後に真夏日の日数について少し

環境省の想定では、30℃以上となる真夏日について、札幌では現在の8日が21世紀末には40日増えて48日になる。東京は現在の46日が57日増えて103日になると言っています。

そこで、過去10年間の真夏日の日数も一覧にしておきます。

札幌東京熊谷
2008年45360
2009年33644
2010年176669
2011年105564
2012年196473
2013年95560
2014年94144
2015年64244
2016年115250
2017年74750
2018年75955

あれだけ最高気温の更新が話題となった2018年は、実は真夏日の日数は、過去最高からは程遠い日数なのです。日本一の熊谷も見てください!一時の記録更新だけで、温暖化という言葉を信じてはいけないのですよ。

もっと、詳細を見てみたいという方へ

そもそもは、HTB「イチモニ」で2001年天気予報を、パロディ的に北海道版を作り流したことに、ほんのちょっとの疑問と探求心を持ってしまったばかりに、7記事にも渡り、検証をしてきてしまいました。

最後に、ここにたどり着くまでの6つの記事に、上記グラフの元データにもなっている詳細データが記載されているので、リンク先をご紹介して、この記事シリーズを終了致します。

❶35℃以上の日数(10年平均×10年代分・24地域分)↓
2100年の天気予報は正しいの?❶猛暑日の日数100年データで検証!

❷年の最高気温(10年平均×10年代分・24地域分)↓
2100年天気予報は正しいの?❷温暖化を最高気温100年推移で検証!

❸7月~9月の平均気温(10年平均×10年代分・24地域)↓
2100年天気予報は正しいの?❸温暖化を夏平均気温100年で検証!

❹7月~9月の最高気温(3年平均×10回分・24地域)↓
2100年天気予報は正しいの?❹温暖化を平均最高気温100年で検証!

⑤降水量(10年平均×12年代分・札幌/旭川/帯広/釧路)↓
北海道にも将来40℃の激暑と梅雨やってくるかも!?って本当?

⑥30℃以上の日数&8月の平均最高気温(北海道8地域+札幌・仙台・東京・福岡)↓
2100年に札幌は今の東京並みの暑さ!?に大いなる疑問の理由!!

 

それではまた。。。

error: Content is protected !!