JR北海道が消費税率引き上げと同時に、2019年10月から運賃を値上げをする方向であることが、いろんなニュースで流れていますけど、多くのメディアでは平均の値上げ率と初乗り運賃のことしか報じていません。
しか~し、この値上げによって受ける影響度は、人によって大きく違うのです!
が、そこまで報じてくれているメディアは少ないですよ。
今朝のSTV「どさんこワイド朝」では、朝日新聞の記事を基に、「札幌-新札幌」間と「札幌-新琴似」間の1か月の定期代が3割も値上げになるって説明してくれていました。
そこで今回は、
JR北海道の値上げで大きく影響を受ける人は誰か?
なぜこんなに大幅な値上げをするのか? 値上げすることでメリットはあるのか?
そんなところを中心に、独自にまとめてみました。
一般的に報じられているニュースのトーン
①初乗り運賃が30円値上げして、170円から200円になる。
②値上げ率は、平均して9.1%で、消費税率引き上げの2%を合わせると11.1%になる。
③値上げは、普通運賃などにとどめ、特急列車の料金や通勤・通学定期券の割引率は現行のままとする方針である。
④5月10日に、国土交通省に認可申請を行う。
⑤今回の値上げで、40億円の増収になるが、巨額赤字に対する増収策の一環である。
こんな感じですよ。
実際の運賃の値上げ方(まだ推定)
普通運賃の値上げ率
以下の一覧表は、JR北海道が国土交通省へ認可申請する書面を見た訳でも、マスコミ向けに流された情報を基にしている訳でもなく、各メディアが報じている内容から推定しての数字です(けど、恐らく当たっていると思いますよ)。
よって、下記より長い距離の区間については分かりませんが、近距離で値上げ率が高く、長距離では値上げ率が低くなるようですから、一番に大きな値上げの影響を受けるのは、下記の区間に限られると思います。
営業キロ | 路線 | 現行 | 値上げ後 | 値上げ率 |
1-3km | 全線 | 170 | 200 | 17.6% |
4-6km | 全線 | 210 | 250 | 19.0% |
7-10km | 幹線 | 220 | 290 | 31.8% |
地方線 | 230 | 300 | 30.4% | |
11-15km | 全線 | 260 | 340 | 30.8% |
※「幹線」とは、函館本線・室蘭本線・千歳線・石勝線・根室本線のこと。
※「地方線(地方交通線)」とは、札沼線・日高本線・留萌本線・富良野線・宗谷本線・石北本線・釧網本線のこと。
※「全線」とは、幹線も地方交通線も現行は運賃が同額であるので、一括りに「全線」とまとめました。但し、場合によっては幹線と地方交通線で、値上げ後の運賃が異なる場合もあり得ます。
定期の割引率
割引率自体は据え置き(変更なし)です。
しかし、そもそもの普通運賃が値上げになりますから、通勤定期も通学定期も、その金額は普通運賃が値上げされた率とほぼ同率の値上げがされることになります。
例えば、朝日新聞の試算によると、「札幌-新札幌」間は、普通運賃が現行260円から340円になり値上げ率は30.8%、1か月の通勤定期は現行8,390円から10,980円になり値上げ率は30.9%となります。
10円単位にする際に、普通運賃と通勤定期に0.1%の差が発生してしまうのだと思いますよ。
特急料金の値上げは?
特急料金も、据え置き(変更なし)です。
影響を大きく受ける人はこんな人
7~10kmの近距離を利用の方
★一番大きな影響を受けるのは、現在「220円」「230円」の運賃区間(7-10km)を利用されている方です。これは、普通運賃も定期代も同じことです。
☆次には、「210円(4-6km)」「170円(初乗り)」区間であると思われますが、「360円(16-20km)」や「450円(21-25km)」の区間の値上げがどうなるのか?は、今の情報だけでは私には分かりません。
そもそもが、国土交通省がJR北海道の申請をそのまま通すのか?ってこともありますけど。。。
ただ普通は、認可申請する前にJR側と国土交通省側の事前協議を経た上で認可申請されるはずなので、そのまま通るんでしょう。
朝日新聞が大々的に「JR定期3割超値上げも」という見出しになっていますけど、中身を読めば、定期券だけでなく、普通運賃も220円と230円の区間は3割超の値上げ率になっていることが分かります。
会社勤め以外の方?
私が書くまでもないことですけど、通勤定期はいくら値上げしたって、会社勤めの方には直接関係ありませんね。
会社が負担してくれるので、会社の経営に関わる人(役員・総務経理系)以外の方には影響は直接はありません。
但し、そろそろ営業成績が落ち始めている企業が多いようですので、会社の経費扱いの幅が狭まるといった面で、影響を受ける方はいるでしょうね(営業や宣伝系?)。
経営数値が悪くなれば当然のように経費カットが来ますけど、更に通勤交通費コストが増えることで、他のコスト(予算)に影響を与えるということは、会社の数値以上に経営者層の言い訳としても利用されるので、大きな影響があるかもしれませんよ。
なぜJR北海道は大幅値上げが必要か?
巨額赤字を縮小するため
JR北海道の2019年3月期の決算では、最終的な赤字が過去最大で「179億円」にまで膨らむようです。
10月の運賃値上げによる増収効果はおよそ40億円だそうで、、2018年度の最終赤字の4分の1にも満たない程度なので、これくらいの値上げは仕方ない範疇でしょう。
JR6社のうち、他の5社は値上げに関する情報が無いようなので、JR北海道だけの努力不足とも言えるんですけど、赤字の半分くらいは、北海道新幹線がもたらしているものなので、JR北海道だけの責任とも言い難いですよ。
北海道新幹線が開通し一番盛り上がった2016年度ですら、北海道新幹線だけで50億円超の赤字だったのですから、札幌へ延伸するまでは、どう考えても赤字の垂れ流しです。
実はローカル線より札幌圏近距離の方が赤字幅が大きい
ご存知ですか?
JR北海道は現在、全部の路線が赤字となっていて、黒字路線が1つもないんです。
しかも、2014年度以降5年連続です。
JR北海道と言えば、赤字ローカル線の存廃にばかり目が行きがちですけど、赤字の絶対額で言うと、幹線や札幌圏の路線の方が多く出しているのが現状だそうですよ。
今回の値上げはJR北海道の経営健全化に重要
札幌圏でも赤字であるのは、冬の除雪経費など雪国ならではの事情もあるようです。
赤字ローカル線の廃止問題をクリアしても、黒字路線がないことにはJR線全体の経営の健全化は図れませんよね。
もちろん、JR線だけでなく、ホテルや不動産など鉄道以外の分野でも収益を上げるようにJR北海道から計画が発表されていますけど、いずれにしても、JR北海道の経営の健全化が図られないと、また列車事故とか起きかねません。
今でも、頻繁に起きる遅延や運休! 新千歳空港へ向うときは、本当に神頼みですよ!
東京在住時には、羽田空港へは30分前に到着できるようにJR線や京急またはモノレールに乗っていましたけど、こちら北海道では、少なくとも1時間前には到着できるように出発しないと、航空機に乗り遅れる危険性がありますし、下手したら旅行を中止しなくてはならなくなります。
そんな状況ですから、早くJR北海道にはまともな列車運行ができるように、まともな経営状況になってもらう必要がありますよ。
札幌~新千歳空港間なんて、もっと値上げしても良いのではないかと思っちゃいますよ。北海道にいると。北海道外からの旅行者や出張者におんぶにだっこ。。。
ちなみに、札幌市営地下鉄も値上げをしていて、その記事はコチラ↓
札幌市営地下鉄が料金値上げ!影響を受ける人受けない人こんな人
それではまた。。。